『ブラック・サイエンス・フィクション』

 『ブラック・サイエンス・フィクション』という言葉はイギリスの音楽評論家、マーク・シンカーという人が同名の記事を音楽誌『ワイヤー』に記載したことから始まるそうです。他にも似たような概念を持った言葉として『アフロ・フューチャリズム』があります。これらはブラック・ミュージックに偏在する、SF志向、宇宙観を表す場合に使われているみたいでして。
 僕も昔から黒人ミュージシャンには宇宙を感じさせる人が多いなと思っていました。インタビューなんかを読んでいても少しキワモノっぽい人達というイメージがありまして。(ジミ・ヘンドリクス、サン・ラ、P-FUNKリー・ペリーなんかがぱっと思いつくところでしょうか。)なんでかなと思っているうちにブラック・サイエンス・フィクション、アフロ・フューチャリズムという言葉に出会い、これはブラック・ミュージックにおける一つのキーワードなのだと知りました。こういう感覚を彼らが何故音楽に持ち込んだかということはまだまだ勉強不足で詳しくはないのですが、最近求めている音がそういうものが多いです。デトロイト・テクノの形成にはアフロ・フューチャリズムの考えが大きな役割を果たしたそうで、その起源となったP-FUNK、特に最近はFUNKADELICに夢中なのです。

 音からコンセプト、ジャケットや衣装にいたるまでまさしくアフロ・フューチャリズムの代表でしょう。昔はfunkのなかでも色物扱いしていて、毛嫌いしていて聴かず嫌いをしていたのですが彼らのコンセプトなんかを知るうちに、まさしくこれはfunkミュージックではないかと。ブーツィー・コリンズのベースに、まさしく宇宙的なバーニー・ウォーレルのシンセ・サイザー。FUNKADELICではなによりエディ・ヘイゼルの弾くブルージーなギターがたまらんのです。久しぶりにかっこいいなと思えるギターですわ。もう一つのグループPARLIAMENTではギターではなくホーン隊がメインになっています。JB´sのフレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカーなんかが参加してそれはそれで抜群ですが。FUNKADELICはギターがメイン。ギタリストはテクニックどうこうより顔で弾くみたいなタイプが好きです。やはり名演「Maggot Brain」は名演だと思います。