周回運動


 相棒のちよなのですが、随分暑くなってきたということで、どんどん冬用の毛が抜けていって生え変わっています。今がピークなのか地肌がみえちゃっている部分もあるのです。それくらい抜けるのです。毎年の事ながら毎度驚く次第です。なので今はかわいさ2割減なのですが、しようがないのですね。家に彼が来てからというもの、そういう季節の変わり目を感じる様になりました。なかなか風流かといえばそうでもありません。そろそろ梅雨でしょうか。梅雨は本当に苦手です。解る人には解ると思いますが、雨が降ったり湿気が多かったりすると体が重いのです。気圧に押しつぶされそうになることがあるのです。季節の変わり目なんかにはわりと敏感なのです。

 さてそういう事も関係しているのか最近DUBを欲しています。昨日無性に聴きたくなり今日早速買って来たのが、あの大名盤LEE PERRYの『Super Ape』。初めて聴いたのは4年程前でしょうか。で、その時はLEE PERRYはなんか苦手だわと思い売却してしまったのですが改めて聴いてみると最高ではありませんか。そう、こういうものは周回運動なのです。派手なエフェクトなんかも殆どなく、どちらかといえばルーツレゲエに近い印象。それでもDUBなんです。本当に味があるといいましょうか、噛めば噛む程ってやつです。彼の作品は所謂DUBっていうものではなく、もっとサウンドコラージュ的な要素が強いと思うのですが、そこが当時の自分に解らなかった要因であり、彼が他ジャンルのアーティストからもリスペクトされる所以でしょうか。とにかく他のダブエンジニアとは一線を画しているなと僕なんかでも思います。プロデュースワークにしてもLEE PERRY独特の感じがある。BLACK ARKスタジオですね。音楽史に残る「奇才・鬼才」である事はまちがいない。「奇才」というのはすごいですね。時代なんか関係なし。
 しかし思うのですが、本当にすごい作品というものは僕程度のセンスでは一回聴いただけでは解らないというか。何周もしてやっと解るすごさというものがあるんだと思います。瞬発力のある音楽っていうのは解りやすくていいけれど、長く本気で向き合える作品といのはこういう作品なんだなと思うのです。スピーカーの前に鎮座してブーストされた低音に身を委ねるとどんどん自分が浄化されていっているような気がします。そこにのせられるダブワイズされた上音はましく幽玄の世界ではないですか。幽玄という言葉がすごくしっくりくるLEE PERRなのです。