ブルースについて


 BLIND WILLIE JOHNSON/DARK WAS THE NIGHT
 「たぶん六歳か七歳だった。田舎の暗い夜道を歩いていると、突然どこからか音楽が聞こえてきた。(中略)あの時、オレは何かを身につけたんだ、言っていることがわかるかい?ブルースとか教会音楽とかバック・ロード・ファンクとか、南部や中西部のサウンド、リズムがオレの身体に染みついたんだ。暗くなって梟が鳴きに出る、気味の悪いアーカンサスの裏道でオレの血の中に入り込みはじめたんだ。」
 上に引用したのはマイルス・デイビスの自伝からの有名な一節。ここ最近またブルースが好きな周期がやってきています。というよりは、ブルース的なるものが好きなのはずっとかなとも思う。自分の中にブルースが入ってきた瞬間なんて全く覚えていないけれど、最初はギター音楽としてのブルースが好きだった事は確か。上にあげたBLIND WILLIE JOHNSONのようなデルタ・ブルースが好きになったのはここ何年か。これからもっともっとブルース的なるものが体に染みついていくのだろうか。ブルースとはなんぞや?日本人にブルースは演奏可能か?みたいな議論は何百万回と繰り広げられてきたものだとは思うが、なんというかこう、しっくりくる自分なりのブルースなるものを確立できればな。ブルースを好きになった当時の自分には楽器という媒体があったにせよ、その感覚は間違っていなかったのです。
 ま、もっと噛み砕いていうと民俗学的なという意味でのフォーク・ミュージックが好きなのだとも思います。そういう音楽というのは世界中に存在して、そこにはその音が成り立つための必然性が必ずある。そういう音には良いとか悪いとかを超越する、圧倒的な説得力を感じずにはいられません。