Mississippi Records


 あまり映画って見ないし知らないんですが、好きな映画「Paris, Texas」です。オープニングのライ・クーダーのスライドギターとこの風景に気が遠くなるのです。ブルースが憑いたか。Mississippi Recordsていう世界各地のフォークミュージックをかき集めてまとめて出しているレーベルがあるのです。そこから出ているアメリカのバラッドやスピリチュアル、伝承歌にゴスペルなんかを集めたコンピがツボでして。弾き語りスタイルの、前に書いたかな?所謂Songster(主に古い時代のブルーズ・シーンで活躍した、芸風広く流行り唄やダンスチューンまで唄いこなすような人気歌手)達が収録されています。その歌達には商業的な側面は殆ど無く、ブルースによくある図書館なんかでの記録録音の類いのものだと思いますが、チューニングが微妙過ぎるギターであ゛ぁーなんて歌われる70年前とか80年前のブルース、ブルーズに耳を傾けているとこれまた気が遠くなりまして。今聴いているのがこれなんですが。「YONDER GO THAT OLD BLACK DOG」


 こういうSongsterの人達の語り口というか歌い口が好きだなといつもながら思います。なんというか語りかける感じとでもいいましょうか。芸は芸でも宴会芸なんかの芸。かしこまって披露するものではなく、ふと口をついて出てくるカラオケ18番みたいな曲達なのかなって思ったり。これ本当にすごくて子供のはしゃぎ声が入ってきたり、近所の人がやまなりになって歌ってるのかな?みたいな雰囲気の曲があったりしてグルーヴが出まくっている。それがまためちゃくちゃ良い曲だったりします。ロバート・ジョンソンなんかとはこういう人達は違ったんでしょうね。音楽に鬼気迫っているような迫力ではなくて。彼なんていうのは当時の前衛だったはずで、雰囲気が全然違います。ん?裏ジャケみたらこれ65年の録音ぽい!そして家族録音て。蝉が鳴き出して、家には昨日蟻が大量発生しました。夏がきましたね。こういう気が遠くなる日がある。もう一回聴いて寝よ。