振れ幅

 「家でも聴ける」ということが自分の中で重要な要素としてある。クラブやフェスなんかで様々な要因が混じりあった上で機能する音ではなくて、一人でも聴ける音じゃないと好きになることはなかなかないな。だからどうしても内省的になりがちなので、人がいる時なんかにかけるとシーンとすることが多い。4ツ打ちなんだけれど、この曲こんなキックの音小さかったんだとハッとすることがある。一人でも楽に向き合えるとか、自分のいる空間に音が鳴っていてもそれがすべてにならないような自然に鳴ってくれる音。BGMって言い方をすると悪いイメージを持ちがちだけれども、そういう音楽もいいと思う。全神経を音に集中させるような聴き方だと、音楽を聴く機会なんてなかなかなくなる。気軽に接すればいいんだ。最近の心境。
 そういう意味で先日借してもらったKILLER BONGの〜DUBシリーズは良かった。MIX CD的な感じで細かくトラックを繋いでいるのかなと想像していたけれど、がっつりトラックアルバムで驚いた。思っていたより音の振れ幅も広くて、たくさんの要素をヒップホップの土台の上にのせてコラージュしている印象。そういう意味で確かにDUBだなと思った。ジャンルどうこういうのが馬鹿らしくなる音楽してた。リー・ペリーに近さを覚える。ハウスの分母の上にのせる分子は無限だいとKEN ISHIIがいっていたのを読んだけれど、HIP-HOPやDUBもそうだな。これらの音楽って思想的なものに結びつけて正当性云々しやすい音楽だけれど、そういう部分を覗けばすごく自由に解釈できる音楽。それがあるのが世界中に広まってたくさんのハイブリットを生んだ要因。自分が作るものもこういう振れ幅があるように務めたいもの。