やられた。


 やられた。なんにも期待せずにターンテーブルにのせたらもっていかれた。
 曲がいいとかメロディーや歌詞がいいというのは勿論ある。あるのだがそんなことより、ぐっと掴まれるなにかがあるのだ。沁みるというかしゅんでいき、こう、感情がとけていくとでもいえばいいのか。あらがえぬなにかがある。そこからぶわーっと広がっていく感覚は喜怒哀楽全てをつつみこむ。真冬の炬燵のような温もりがある。歌謡曲という音楽にはそうしてよくやられている。このブログでも歌謡曲についてはよく書いているが、そのなにか、ことばにできないような感覚を求めて俺は歌謡曲を聴く。